2023年6月号
日が落ちて、ようやく辺りが暗くなる頃、南の空に色の違う二つの1等星が見つかります。高いところで橙色に輝くアークトゥルスと、その少し下で青白く輝くスピカです。アークトゥルスは麦が黄金色に実る頃に空高く輝く「麦星」として親しまれています。一方のスピカも、「麦の穂先」を意味する名前で、二つの麦星を「夫婦星(めおとぼし)」と呼ぶこともあります。東には織姫と彦星も姿を見せるこの時季の空、雲の切れ間に明るい星を探してみましょう。
2023年5月号
北の空高く、七つの星でつくる大きなひしゃく「北斗七星」が見頃です。「北の大時計」とも呼ばれる北斗七星は、北極星の周りを1日に1周、1時間で15度ずつ動きます。時計の針とは反対周りに動いて見えますが、実際に動いているのは私たちの方です。私たちは北極星の方に軸を向けてコマのようにくるくる回る地球に乗って外の世界を眺めています。時間とともに大きく位置を変える星々を眺めながら、地球の自転を感じてみてください。
2023年4月号
2023年4月、岡三証券グループは創業100周年を迎えます。90周年事業の一環としてつくられた神楽洞夢では、迫力の映像や美しい星空をお客様にお届けしています。近代的なプラネタリウムが誕生したのも100年前の1923年、カール・ツァイス社が開発した「ツァイスⅠ型」がドイツ博物館で試験公開されました。100周年を記念して、各地のプラネタリウムではイベント等が計画されています。節目の年にぜひ、いろいろなプラネタリウムを訪れてみてください。
2023年3月号
夕暮れ時の西の空に、明るい二つの惑星が目立ちます。ひと際明るい「宵の明星」金星と、「真夜中の明星」木星です。地球よりも太陽の近くを公転する金星は、真夜中に見ることはできません。一方木星は、見頃の時期には一晩中楽しめますが、今シーズンはそろそろ見納めです。今月初めに寄り添うように輝く金星と木星が、日ごとに離れていく様子はまるで、一番星の役目をバトンタッチして、木星が去っていくようにも見えます。
2023年2月号
午後8時頃、南の空を見上げると、冬の星座の星々が一番の見頃を迎えています。星座を作る星の中で最も明るいシリウスをはじめ、七つの1等星が輝き、赤い火星もまだまだ目立ちます。地平線近くには、めったにお目にかかれない、もう一つの1等星カノープスを見つけるチャンスです。中国では、「南極老人星」と呼ばれ、天下泰平のときにしか姿を見せない星と信じられていたようです。平和を祈りながら、美しい星々を楽しみましょう。
2023年1月号
新しい一年の始まりです。今年はうさぎ年、ぴょんぴょんと軽やかに元気良くいきたいものです。夜空に輝く星座にも「うさぎ座」があります。一番明るい星でも3等星と、あまり目立ちませんが、古くからある星座の一つです。冬の星座の王様、オリオン座の足元をよく見ると、長い耳を持ったうさぎが小さくうずくまった姿をイメージすることができます。お隣のおおいぬ座につかまるまいと、ひっそり息をひそめているのかもしれません。
2022年12月号
12月1日に地球との最接近を迎えた火星が夜空に目立ちます。火星が赤く見えるのは、火のように燃えているからではなく、表面を覆う岩や砂に「酸化鉄」が多く含まれるからです。太陽に照らされ「赤さび」色に輝いているわけです。周りに見える、おうし座のアルデバランやオリオン座のベテルギウスとは違った赤さです。夜は寒いので、鉄粉を酸化させて熱を作るカイロで温まりながら、火星の赤さをじっくり楽しんではいかがでしょう。
2022年11月号
11月8日の夜、皆既月食が起こります。今回はさらに、月食中の月が天王星を隠す「天王星食」も起こります。天王星は、太陽系で3番目に大きな惑星で、直径は地球の約4倍ですが、地球から遠く離れているため、観察には望遠鏡などが必要なほどです。一方、月の直径は地球の約4分の1ですが、距離が近いため、惑星よりずっと大きく見えます。地球の影に隠れる月や、月の向こうの天王星を想像すると、夜空に奥行きを感じる気がします。
2022年10月号
秋の星座には明るい星が少なく、1等星といえば「みなみのうお座」のフォーマルハウトただ一つです。南の空低い位置にぽつんと輝く姿は、「秋の一つ星」と呼ばれます。いつもはどこか寂し気に見えるフォーマルハウトも、今年は木星や土星のおかげで、「一つ星」という印象ではありません。まるで、明るい惑星の輝きを借りて、まだまだ高いところで目立つ「夏の大三角」に負けじと、特別な「秋の大三角」を作っているようです。
2022年9月号
9月10日は「中秋の名月」。夜空には満月と、見頃を迎えた「夜半の明星」木星の姿もあります。地球には月が一つですが、太陽系最大の惑星である木星には70個以上もの衛星があります。中でも、ガリレオ衛星と呼ばれる大きな四つの衛星は、木星と並んだ姿を小型の天体望遠鏡でも確認できます。目まぐるしく木星を巡る木星の「月」たちは、時間とともにその並びを変えていきます。この秋は一味違った「月」見を楽しんではいかがでしょう。
2022年8月号
暑い日が続いています。世界には最高気温が50℃を超える地域もありますが、地球の外には、さらに過酷な環境があります。太陽系の一番内側を回る水星は、地球の10倍以上の日光を浴び、昼間の表面温度は約430℃になります。地球の一つ内側を回る金星は、分厚い二酸化炭素の大気が強い温室効果をもたらし、常に表面温度約460℃の灼熱地獄です。それに比べると、地球は過ごしやすい環境です。とは言え、水分補給を忘れずに、無理せずこの夏を乗り切りましょう。
2022年7月号
七夕の織姫星として知られる、こと座の1等星ベガは、直径が太陽の倍以上ある星です。太陽が約25日で1回転自転をするのに対して、ベガは約12.5時間で1回転と、遠心力で星自身が壊れてしまいそうな程の猛スピードで自転します。彦星のアルタイルも太陽より大きな星ですが、自転の速度が速く、9時間程で1回転します。天の川を挟んで離ればなれになった二人ですが、それぞれ目が回るほど忙しく働く、似た者夫婦なのかもしれません。
2022年6月号
6月6日は「家族団らんの日」、あるテレビ番組がきっかけで作られた記念日だそうです。近頃、夜明け前の空は、地球とともに太陽を巡る惑星たちの輝きでにぎわっています。今月中旬から下旬にかけて、地球以外の七つ全ての惑星が地平線の上に勢ぞろいします。中でも水星、金星、火星、木星、土星は肉眼でも見つけることができ、古くから知られています。早起きをして、太陽系の家族団らんの様子を楽しんでみてはいかがでしょう。