2024年7月号
美しく夜空を彩る星々は、宝石に例えられます。西の空で仲良く輝く、春の夫婦星の一つ、青白い1等星スピカには「真珠星」の呼び名があり、東に高く昇った七夕の主役、織姫星のベガは、ダイヤモンドの輝きと称されます。南の空には、その名も「宝石」を意味するゲンマという別名を持った、2等星アルフェッカがあり、この星を中心に半円形に暗い星々を結べば、かんむり座の出来上がり。他にも隠れた数々の宝石たちを探してみてください。
2024年6月号
梅雨時、空一面に広がった雨雲で星々の姿が見えないと寂しい気分になります。けれども、雨にもいいことがあり、空気中のチリなどを洗い流して、晴れ間に輝く星の姿をより美しく見せてくれることもあります。雲の向こうでは、赤い心臓の星、アンタレスをギラギラ輝かせたさそり座や、七夕を待ちきれずに昇ってきた織姫ベガと彦星アルタイルなど、夏の星々が東の空に控えて、出番はまだかと今から準備をしているようです。
2024年5月号
夜空を眺める時には、明るい星を結んで作る目印を覚えておくと便利です。この時季見頃の「春の大三角」は、二つの1等星、アークトゥルスとスピカと、2等星デネボラを結んだ三角形です。三つの星すべてが1等星の夏や冬の大三角に比べると華やかさには欠けますが、スピカはおとめ座、デネボラはしし座と、星占いでおなじみの星座を見つけるのに役立ちます。春というより初夏の大三角ですが、星を結んで夜空を楽しんでみてください。
2024年4月号
新年度を迎え、新たなスタートを切る4月。神楽洞夢も一般公開を始めてから丸10年がたち、今回5台の投影機を新しくしました。気持ちも新たに、美しい星空や映像を皆様にお届けしてまいります。近頃の夜空にはギリシャ神話で勇者ヘルクレスに退治されてしまった怪物たちの星座、しし座、かに座、うみへび座が見頃です。南の空に顔を寄せ合い、何か秘密の相談でもしているのでしょうか。ぜひプラネタリウムでその様子をご覧ください。
2024年3月号
夜8時頃、頭の上を見上げると、明るさの似た二つの星が輝いています。ふたご座の1等星ポルックスと、2等星のカストルです。仲良く並ぶ姿は雛人形にも例えられ、「カニの目」「夫婦星」など、対になったものに見立てた呼び名もあります。でも実は、カストルは六つの星が互いの重力の影響を受けて回りあう六重連星、ポルックスにも、周りを回る惑星が見つかっています。意外と兄弟の多い、賑やかに輝く星たちなのかもしれません。
2024年2月号
夜空では冬の星座たちが一番の見頃を迎えています。中でも一際目を引くのがオリオン座です。赤いベテルギウスと青白いリゲルの、二つの1等星を含んだ長四角の真ん中に行儀良く並んだ三ツ星が南の空でよく目立ちます。88個ある星座の中で、1等星を二つ持つものは三つしかありません。さらに2等星の数も五つと多く、贅沢な輝きはまさに星座の王様です。周りには他にも色とりどりの1等星が輝き、空を見上げるのが楽しい季節です。
2024年1月号
新年を迎えました。今年の干支は辰、夜空の星座にもりゅうの姿があります。りゅう座は、北の空で、北極星の周りを囲むように輝く星座です。明るい星は少ないですが、りゅう座のα(アルファ)星トゥバンは今から五千年ほど前には天の北極の近くで輝き、北極星とされていた星です。新年最初に見頃を迎える「しぶんぎ座流星群」は別名「りゅう座ι(イオタ)流星群」といいます。夜空にきらめく流れ星が、今年はまるでりゅう座を華やかに盛り上げるようです。
2023年12月号
12月の夜空を飾る天文イベントの「ふたご座流星群」は、毎年安定して多くの流れ星を楽しむことができる三大流星群の一つです。今年は14日の夜から15日未明にかけてが一番の見頃で、この日は月明かりの邪魔が入る心配もなく、たくさんの流れ星が期待できそうです。力強い明るさの木星や、きらびやかな1等星の多い冬の星座が輝き、師走の夜空はとても賑やかです。慌ただしい毎日の息抜きに、空を見上げてみてはいかがでしょうか。
2023年11月号
「夜半の明星」とも呼ばれる、太陽系最大の惑星、木星の明るい輝きが目立つようになりました。おひつじ座で輝く木星は今月初めに、地球から見て太陽と正反対の位置にやってくる「衝(しょう)」となり、一番の見頃を迎えます。木星は、太陽の周りを約12年かけて一巡りするため、星占いの星座を1年でひとつずつ移動していくように見えます。あなたのお誕生星座に木星がやってくるのはいつでしょうか。調べてみるのも面白いかもしれませんね。
2023年10月号
星の光は、遠いところから長い時間をかけて私たちのもとに届きます。昼間の太陽の光も、8分ちょっと前に太陽を出発したもので、それだけ昔の姿を見ていることになります。夜空に明るく目立つ木星の光は数十分前、星座の星になると何年、何十年、何百年も前の光です。星空を見上げるとき、私たちはちょっとした時間旅行を楽しんでいるのかもしれません。星々の光を地上に映すプラネタリウムが誕生して100年、神楽洞夢も今月で10歳になります。そんな歴史を感じつつ、星空を眺めてみませんか。
2023年9月号
地球の周りを回る月は、日ごとに形を変えながら、星空を少しずつ移動していくように見えます。月は時々、他の天体を後ろに隠すこともあり、今月21日、さそり座の心臓に輝く赤い1等星アンタレスが月に隠される「アンタレス食」が起こります。隠れる瞬間は空が明るく、見づらいですが、津市では午後6時47分頃、月の後ろからひょっこりと姿を現すアンタレスを見つけられるかもしれません。双眼鏡などを使って楽しむのがおすすめです。
2023年8月号
夏真っ盛り、海水浴やプールへお出かけされる方もいるかもしれません。もしも太陽系の惑星たちを大きなプールに入れたとしたら、上手に浮くことができるのは土星です。立派な浮き輪を持っているから…ではなく、土星は太陽系で2番目に重い惑星ですが、水素やヘリウムなどのガスでできており、密度が水よりも小さいためです。今月一番の見頃を迎える土星は、午後9時頃、東の空で輝きます。夜空にぷかぷか浮かぶ姿をお楽みください。
2023年7月号
宵の空、金星が明るさのピークを迎えています。天体望遠鏡で見る金星は、月のように満ち欠けをしています。一番明るく見えるのは、どんな形の頃でしょうか?満月のように丸い頃…ではありません。実は三日月のように欠けた頃です。意外かもしれませんが、金星は丸い頃よりも欠けた頃の方が地球との距離が近いため、見かけの大きさが大きくなるのがその理由です。今月20日頃には、おそろいの形で並ぶ月と金星を楽しむことができます。