2023年12月号
12月の夜空を飾る天文イベントの「ふたご座流星群」は、毎年安定して多くの流れ星を楽しむことができる三大流星群の一つです。今年は14日の夜から15日未明にかけてが一番の見頃で、この日は月明かりの邪魔が入る心配もなく、たくさんの流れ星が期待できそうです。力強い明るさの木星や、きらびやかな1等星の多い冬の星座が輝き、師走の夜空はとても賑やかです。慌ただしい毎日の息抜きに、空を見上げてみてはいかがでしょうか。
2023年11月号
「夜半の明星」とも呼ばれる、太陽系最大の惑星、木星の明るい輝きが目立つようになりました。おひつじ座で輝く木星は今月初めに、地球から見て太陽と正反対の位置にやってくる「衝(しょう)」となり、一番の見頃を迎えます。木星は、太陽の周りを約12年かけて一巡りするため、星占いの星座を1年でひとつずつ移動していくように見えます。あなたのお誕生星座に木星がやってくるのはいつでしょうか。調べてみるのも面白いかもしれませんね。
2023年10月号
星の光は、遠いところから長い時間をかけて私たちのもとに届きます。昼間の太陽の光も、8分ちょっと前に太陽を出発したもので、それだけ昔の姿を見ていることになります。夜空に明るく目立つ木星の光は数十分前、星座の星になると何年、何十年、何百年も前の光です。星空を見上げるとき、私たちはちょっとした時間旅行を楽しんでいるのかもしれません。星々の光を地上に映すプラネタリウムが誕生して100年、神楽洞夢も今月で10歳になります。そんな歴史を感じつつ、星空を眺めてみませんか。
2023年9月号
地球の周りを回る月は、日ごとに形を変えながら、星空を少しずつ移動していくように見えます。月は時々、他の天体を後ろに隠すこともあり、今月21日、さそり座の心臓に輝く赤い1等星アンタレスが月に隠される「アンタレス食」が起こります。隠れる瞬間は空が明るく、見づらいですが、津市では午後6時47分頃、月の後ろからひょっこりと姿を現すアンタレスを見つけられるかもしれません。双眼鏡などを使って楽しむのがおすすめです。
2023年8月号
夏真っ盛り、海水浴やプールへお出かけされる方もいるかもしれません。もしも太陽系の惑星たちを大きなプールに入れたとしたら、上手に浮くことができるのは土星です。立派な浮き輪を持っているから…ではなく、土星は太陽系で2番目に重い惑星ですが、水素やヘリウムなどのガスでできており、密度が水よりも小さいためです。今月一番の見頃を迎える土星は、午後9時頃、東の空で輝きます。夜空にぷかぷか浮かぶ姿をお楽みください。
2023年7月号
宵の空、金星が明るさのピークを迎えています。天体望遠鏡で見る金星は、月のように満ち欠けをしています。一番明るく見えるのは、どんな形の頃でしょうか?満月のように丸い頃…ではありません。実は三日月のように欠けた頃です。意外かもしれませんが、金星は丸い頃よりも欠けた頃の方が地球との距離が近いため、見かけの大きさが大きくなるのがその理由です。今月20日頃には、おそろいの形で並ぶ月と金星を楽しむことができます。
2023年6月号
日が落ちて、ようやく辺りが暗くなる頃、南の空に色の違う二つの1等星が見つかります。高いところで橙色に輝くアークトゥルスと、その少し下で青白く輝くスピカです。アークトゥルスは麦が黄金色に実る頃に空高く輝く「麦星」として親しまれています。一方のスピカも、「麦の穂先」を意味する名前で、二つの麦星を「夫婦星(めおとぼし)」と呼ぶこともあります。東には織姫と彦星も姿を見せるこの時季の空、雲の切れ間に明るい星を探してみましょう。
2023年5月号
北の空高く、七つの星でつくる大きなひしゃく「北斗七星」が見頃です。「北の大時計」とも呼ばれる北斗七星は、北極星の周りを1日に1周、1時間で15度ずつ動きます。時計の針とは反対周りに動いて見えますが、実際に動いているのは私たちの方です。私たちは北極星の方に軸を向けてコマのようにくるくる回る地球に乗って外の世界を眺めています。時間とともに大きく位置を変える星々を眺めながら、地球の自転を感じてみてください。
2023年4月号
2023年4月、岡三証券グループは創業100周年を迎えます。90周年事業の一環としてつくられた神楽洞夢では、迫力の映像や美しい星空をお客様にお届けしています。近代的なプラネタリウムが誕生したのも100年前の1923年、カール・ツァイス社が開発した「ツァイスⅠ型」がドイツ博物館で試験公開されました。100周年を記念して、各地のプラネタリウムではイベント等が計画されています。節目の年にぜひ、いろいろなプラネタリウムを訪れてみてください。
2023年3月号
夕暮れ時の西の空に、明るい二つの惑星が目立ちます。ひと際明るい「宵の明星」金星と、「真夜中の明星」木星です。地球よりも太陽の近くを公転する金星は、真夜中に見ることはできません。一方木星は、見頃の時期には一晩中楽しめますが、今シーズンはそろそろ見納めです。今月初めに寄り添うように輝く金星と木星が、日ごとに離れていく様子はまるで、一番星の役目をバトンタッチして、木星が去っていくようにも見えます。
2023年2月号
午後8時頃、南の空を見上げると、冬の星座の星々が一番の見頃を迎えています。星座を作る星の中で最も明るいシリウスをはじめ、七つの1等星が輝き、赤い火星もまだまだ目立ちます。地平線近くには、めったにお目にかかれない、もう一つの1等星カノープスを見つけるチャンスです。中国では、「南極老人星」と呼ばれ、天下泰平のときにしか姿を見せない星と信じられていたようです。平和を祈りながら、美しい星々を楽しみましょう。
2023年1月号
新しい一年の始まりです。今年はうさぎ年、ぴょんぴょんと軽やかに元気良くいきたいものです。夜空に輝く星座にも「うさぎ座」があります。一番明るい星でも3等星と、あまり目立ちませんが、古くからある星座の一つです。冬の星座の王様、オリオン座の足元をよく見ると、長い耳を持ったうさぎが小さくうずくまった姿をイメージすることができます。お隣のおおいぬ座につかまるまいと、ひっそり息をひそめているのかもしれません。
2022年12月号
12月1日に地球との最接近を迎えた火星が夜空に目立ちます。火星が赤く見えるのは、火のように燃えているからではなく、表面を覆う岩や砂に「酸化鉄」が多く含まれるからです。太陽に照らされ「赤さび」色に輝いているわけです。周りに見える、おうし座のアルデバランやオリオン座のベテルギウスとは違った赤さです。夜は寒いので、鉄粉を酸化させて熱を作るカイロで温まりながら、火星の赤さをじっくり楽しんではいかがでしょう。