2021年1月号
新年を迎え、夜空では冬の星座たちがきらびやかな姿を見せています。中でも有名なオリオン座の、三ツ星を結んだ線を伸ばした先に、オレンジ色のアルデバランがあります。この星はおうし座の目で輝く一等星で、そこからVの字に並んだヒアデス星団がおうしの顔を形作ります。今年の干支でもある牛の姿が、南の空でいつもより堂々として見えます。心配事は尽きませんが、今年は笑顔でVサインできるような1年になるといいですね。
2020年12月号
総飛行距離約52億km、6年間にわたる壮大な宇宙の旅のお土産は、小惑星のかけらが詰まった玉手箱。小惑星「リュウグウ」で数々の偉業を成し遂げた探査機「はやぶさ2」の待ちに待った地球帰還です。種子島宇宙センターを出発した頃とは世界の様子は一変してしまいましたが、「はやぶさ2」の一足早いクリスマスプレゼントが、人々を元気づけてくれるかもしれません。夢や希望をのせて、探査機はまた新たな旅に出かけます。
2020年11月号
木々が赤や黄色に色づく季節になりました。夜空もそろそろ冬支度でしょうか、東の低いところには橙色のアルデバランや黄色いカペラなど、冬の星座の星々が姿を見せています。昨年の秋から減光で話題になったオリオン座のベテルギウスは赤い星の代表格です。この冬にはどんな輝きを見せてくれるのでしょう。先月地球との最接近を迎えた火星も、まだまだ存在感たっぷりに輝きます。紅葉に似た色で輝く星々を夜空に探してみてください。
2020年10月号
日本には 二夜(ふたよ)の月を愛でる風習があります。中秋の名月と呼ばれる十五夜は、旧暦八月十五日の満月に近い丸い月を楽しみます。 後(のち)の月と呼ばれる、旧暦九月十三日の少し欠けた月を眺めるのが十三夜のお月見です。今年は10月1日が十五夜、29日が十三夜と、ひと月に二度もお月見を楽しむことができ、見頃の火星と月の競演も見ものです。昔から同じ場所で眺めるのがよいとされる二夜の月。ご自宅でゆっくり楽しんでみてはいかがでしょう。
2020年9月号
真夜中になると、秋の星座を背景にして、火星の赤い輝きが目立ちます。火星は、地球のすぐ外側を回る惑星で、2年2か月ごとに地球と接近します。赤く見えるのは表面を覆う岩石や砂に、鉄さびの成分が含まれているためです。火星に生命の痕跡を見つけようと、今年も人類の希望を乗せた探査機が打ち上げられました。来月6日の最接近に向け、徐々に明るさを増していく火星の様子を楽しんでみてください。
2020年8月号
夏の夜空を彩る打ち上げ花火、鮮やかな色の光を生み出す火薬の部分を「星」と呼ぶそうです。配合する金属の炎色反応によって様々な色合いを表現します。夜空に輝く星々も、明るいものは青、白、黄、オレンジ、赤と、意外にカラフルです。星の色は表面の温度で決まります。さそり座のアンタレスは赤、比較的低い温度で輝く星です。他の星も一つ一つ確かめてみてください。天然の星が彩る静かな夜空もなかなかいいものです。
2020年7月号
東の空高いところに織姫のベガと、少し下に彦星のアルタイル、七夕の星ぼしが見ごろを迎えています。年に一度しか会えない二人の間には、1秒間に地球を7周半できる光でさえ、届くのに15年かかるほどの隔たりがあります。これではメールのやりとりも一苦労です。それに比べて私たちは、手間のかかる手紙でも数日待てば相手と連絡を取り合うことができます。遠くの相手と同じ夜空を眺めながら過ごす夏もたまには良いかもしれません。
2020年6月号
梅雨時には日差しが恋しくなります。私たちの地球は、太陽から約1億5千万㎞の距離にあり、光が届くのには約8分かかります。その光は、核融合によって太陽の中心で生み出され、10万年以上かけてようやく宇宙空間へ放たれます。今この瞬間の光も、途方もない歳月を経て送り出されたものと知ると、より大切に思えます。21日は夏至です。今年は夕方に部分日食が起こります。この機会に、太陽について調べてみてはいかがでしょう。
2020年5月号
大きな星座トップ3のうみへび座、おとめ座、おおぐま座が見ごろを迎えています。中でもおおぐま座はしっぽの北斗七星がよく目立ち、こぐまを守るように北の空をめぐります。おおぐまのしっぽを伸ばした先に横たわるのがおとめ座です。この星座は豊穣の女神の姿とされ、神話では娘に愛情を注ぐ母親としての一面も描かれています。5月の第2日曜日は「母の日」ですが、子を思う母の姿は夜空でもどっしりと存在感を見せています。
2020年4月号
全国各地を巡る聖火リレーがいよいよ津市にもやってきて、オリンピックまであと数か月となります。宵の空の金星は日増しに明るくなり、夜明け前には木星や土星、秋に地球との最接近を控えた火星がそろって輝きます。私たちの地球はこれらの惑星とともに、時速約10万㎞という猛スピードで太陽の周りを巡ります。勝ち負けのない宇宙のレースで太陽の光を受け明るく輝きながら駆ける姿は、聖火ランナーと似ているのかもしれませんね。
追記:新型コロナウィルス感染拡大により、東京オリンピックの延期が決定されました。津市に聖火がやってくるのも少し先のことになってしまいました。現在の状況が一日も早く落ち着き、オリンピックに胸躍らせることのできる日が戻ってくることを願っています。
2020年3月号
空は分厚い雲に覆われて、太陽の姿が見えません。上空では秒速100mもの暴風が吹き荒れ、硫酸の雨が降るようです。水深900mにいるのと同じぐらい気圧は高く、大気のほとんどが二酸化炭素のため、激しい温室効果で地表は今日も500度近い高温です。さて、ここはどこでしょうか?これは、夕方の西の空に一番星として輝く金星の話です。地球とほぼ同じ大きさの兄弟星ですが、その環境はずいぶん違いますね。改めて地球の尊さを感じます。
2020年2月号
今年はうるう年です。オリンピックは4年に一度ですが、うるう年はそうとも限りません。暦の1年と地球が太陽の周りを一周する時間とのズレを調整するため、4年ごとに1日が追加されますが、その差が整数ではないため、わずかなズレが積み重なっていきます。そこで、「100で割り切れて、かつ400で割り切れない年は平年とする」というルールがあります。うるう年ではないオリンピックイヤーを計算してみると、よい頭の体操になりそうですね。
2020年1月号
夜空に干支の動物の星座を探してみましょう。牛やうさぎ、馬、羊、犬など、意外とたくさん隠れていますが、88星座すべてを探しても、「ねずみ」の星座はありません。けれども「子(ね)の星」なら見つけることができます。十二支は方位を表すのにも用いられ、「子」は北を指します。子の星とは北の空で一年中沈むことなく輝く北極星の和名です。昔から人々を導いてきた星を眺めながら、新年の目標を立ててみるのもいいかもしれませんね。